イメージ画像

大穴列伝 「激走も意外ではない!? ダイタクヤマト」

アグネスワールドはいつ交わすんだ?

中山競馬場の坂道を先頭で快走する馬を横目に、
観衆の目は名手武豊の動きを追っていた。

ジリジリしか縮まらない差に、いらだちが募った。

 
第34回 スプリンターズステークス

2000年10月1日 中山競馬場

秋のGⅠレースの幕開けを告げる短距離GⅠ。

この年の主役はアグネスワールドだった。

日本調教馬として初めて国外2ヶ国のGⅠレースを勝利し、
このレースをステップにブリーダーズカップスプリントで、
世界の頂点を目指していた。
半兄はこのレースを制してるヒシアケボノ

昨年はブラックホークにゴール前で差され2着だったとはいえ、
負けて強しの内容。
この年も当のブラックホークが出走していたが、
今の勢いならリベンジ可能だと思われていた。

ブラックホーク陣営も、アグネスワールドに勝つ事が出来れば、
同一GⅠ連覇も夢ではない、と確信していた。

他にも前哨戦のセントウルSを勝利したビハインドザマスクや、
2年前のスプリンターズSを勝利したマイネルラヴなどもいたが、
ほぼ2強対決の様相を呈していた。

そんな中、
出走馬16頭中16番目人気(単勝257.5倍)だったのがダイタクヤマト

名マイラーだったダイタクヘリオスの産駒で、
母の父はテスコボーイ。父としてはもちろんだが、
母の父としても、そのスピードを生かした馬を
数多く輩出してきた名種牡馬だ。

さらに2走前の函館スプリントステークスSでは2着に入り、
前走のセントウルステークスでは7着だったとはいえ、
勝ったビハインドマスクから0.4秒の差。

決してココまで人気が落ちるような馬では無かったが、
中山短距離レースで不利と言われる外枠の8枠15番に入ったことも、
この低人気に拍車をかけていた。

鞍上は江田照男騎手。この馬とコンビを組むのは3度目となるが、
その成績は1着1回と3着1回。3着だった薫風Sでは、
52.0倍の11番人気の低評価を覆す激走だった。

江田は、晴れていたとはいえ前日から降っていた雨で、
まだ湿り気を帯びた馬場(稍重)を見て、

「上手くいけば」

と思い始めていた。

 

ゲートは開かれた。

中山の芝レースでは外枠の馬はスタートから押して行っても、
内に寄っていくまでかなりの距離があるため中々先頭集団に取り付く事が難しい。
しかし、江田ダイタクヤマトが好スタートを切ったのを皮切りに、
必死に馬を押して先頭に立とうとした。

江田の思惑を制するように6枠11番のユーワファルコンが並びかけてきた。
それを見た江田は無理に競り合う事をやめ、2番手で折り合いつけた。

このすぐに競り合いをやめた江田の判断が、一見すると前の2頭が
やりあっているように見えた後続の馬達の鞍上の判断を狂わせたのかもしれない。

1番人気のアグネスワールドは2番手集団で仕掛けるタイミングを見計らい、
それを前に見るように2番人気ブラックホークが内で足を溜めていた。

最終コーナーを回るとき、鞍上の手がしきりに動くユーワファルコンと対照的に、
江田の手は全く動くことなく抜群の手応えで直線に入っていった。

アグネスワールドブラックホーク含む全ての馬が、スパートをかけた。

しかし、ダイタクヤマトのスピードは衰えない上に、
各馬が湿り気帯びた馬場に脚をとられ、思ったよりもスピードが乗らない。

ダイヤクヤマトが坂を上り切ったところでようやく脚色が衰えてきたが、
馬場に苦労しているアグネスワールドブラックホークは、
なかなか差が詰まらない。

そんな人気2頭が1馬身と迫ったところで、
ダイヤクヤマトは1着でゴール板を駆け抜けた。

レース前に考えたとおりの快心の騎乗で勝利できたことに、
満面の笑みを浮かべた江田は、ポンっと相棒の肩を叩き労をねぎらった。

その後、ダイタクヤマトはそのスプリント資質を開花し、
続くスワンステークスも勝利。マイルチャンピオンシップでも4着に好走。
この年の最優秀短距離馬に選出され、名スプリンターとして足跡を残す。

 

着順 馬番 馬名 人気 単勝
15 ダイタクヤマト 16 257.5
アグネスワールド 2.1
ブラックホーク 4.2
12 ブロードアピール 26.7
マイネルラヴ 10.6

単勝:(15)25,750円
複勝:(15)2,190円、(9)120円、(2)130円
枠連:(5-8)2,350円
馬連:(9-15)25,700円
ワイド:(9-15)4,620円、(2-15)7,390円、(2-9)220円

 

 

関連記事

コメントを残す

サブコンテンツ

メルマガ会員募集中

ランキング


にほんブログ村 競馬ブログへ

競馬ランキング&競馬情報検索エンジン 競馬サーチ.com

にほんブログ村

このページの先頭へ