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ディープインパクト産駒September(セプテンバー)の可能性

ディープインパクト産駒Septemberの可能性

先日のロイヤルアスコット(2017)で、
アイルランドのディープインパクト産駒September(セプテンバー・牝2)が
チェシャムS(準重・芝7ハロン・2歳)を快勝しました。
ここでも、当レース・デビュー戦と共に話題にしましたが、
あらためてSeptemberについてまとめておきたいと思います。

 
●お母さんは名門出のタフガール

Septemberの母はPeeping Fawn(ピーピングフォーン)。
父はデインヒル、母の父はサドラーズウェルズ。

3代前の母Best in Show(ベストインショ-)は、
娘のSex Appeal(セックスアピール)から名種牡馬トライマイベスト
エルグランセニョールの兄弟、Better Than Honour(ベターザンオーナー)から、
ベルモントSを連覇した兄妹のJazil(ジャジル)と
Rags to Riches(ラグストゥリッチ-ズ)(カジノドライヴの兄姉)を輩出。
ちなみにRags to RichiesはCulinに勝っただけでなく、
ベルモントSを102年ぶりに牝馬が制覇するという快挙。

これらだけでなく、マイルGⅠ5勝のスピニングワールドや、
米GⅠ4勝のDenon(デノン)や豪GⅠ4勝のRedoute’s Choice(リダウツチョイス)、
日本ではフライチパンドラなど、
世界各地に活躍馬を輩出している超名牝系の祖。
その活躍馬の中に、Peeping Fawnも含まれることに。

アメリカで生産された同馬は、
アイルランドのA.オブライエン厩舎に預けられることに。

3歳(2007年)の4月にナヴァン競馬場(芝8F)で
デビューするも、勝ち馬から9馬身差をつけられた3着。
5月16日に初勝利するまでデビューから4戦を要することに。

初勝利から中1週でGⅠの愛1000ギニー(カラ・芝8F)に出走。
英1000ギニーをレコード勝ちしたFinsceal Beo(フィンシャルベオ)が、
英愛1000ギニー連覇(仏1000ギニーも2着)し、その3着に敗れる。

ある程度重賞でも活躍できることが分かると、
一気に距離を伸ばして連闘で英オークス(エプソム・芝12F)に出走。
Light Shift(ライトシフト)に惜しくも半馬身及ばずも、
3着以下を突き離しての2着。

ここでデビュー以来初めて出走間隔が空けられ、
英オークスから中4週でプリティポリーS(カラ・芝10F)に出走。
初めての重馬場でのレースでしたが、
前年の英1000ギニー馬Speciosa(スペシオーサ・牝4)や
仏オークス馬West Wind(ウエストウインド・牝3)を下してGⅠ初勝利。
(ミッキークイーンの母Musical Wayは7着)
続いて中1週で愛オークス(カラ・芝12F)に出走し、
英オークス馬Light Shiftにリベンジを果たしGⅠ2勝目。
続いて中2週でナッソーS(グッドウッド・芝9F)で、
前年のカルティエ賞3歳牝馬Mandesya(マンデネシャ)を退けGⅠ3勝目。
そして中2週でヨークシャーオークス(ヨーク・芝12F)で
GⅠ4勝目をあげました。

凱旋門賞またはオペラ賞も視野に入れるも、
自重し休養に充てる事に。
同年のカルティエ賞3歳牝馬に選出されました。

2008年も現役続行するも、
怪我によりレースに出走することなく引退。

3歳の4月の頭にデビューしてから、
8月の半ばまでの4ヶ月で10戦しGⅠ4勝をあげるという、
タフガールぶりを見せる成績で競走生活を終えました。

繁殖に上がったPeeping Fawnでしたが産駒に恵まれず。
初年度は欧州の大種牡馬Galileo(ガリレオ)をつけるも、
3歳時に2戦するも勝ち上がれず。
2番仔の相手は欧州マイル3冠馬Henrythenavigator(ヘンリーザナヴィゲーター)。
2歳の5月にカラでデビューし勝利。ロイヤルアスコット開催の、
カヴァントS(GⅡ・芝6F)に出走し3着。
その後も重賞で好走するも勝ちきれず引退。

欧州のサイアーから目先を変えて、
まずはアメリカのトップサイアーTapitをつける。
次にディープインパクトをつける為にノーザンファームに預託。
日本で生まれたTapitとの仔はデビューせずに引退も、
超良血統が買われ種牡馬入り。

ディープインパクトとの最初の仔(4番仔)はWisconsinと名付けられ、
今年の5月にデビュー(カラ・芝10F)し2着。
中1週で出走(ティペラリー・芝12.5F)し2戦目で勝利。
ディープインパクト産駒のアイルランド初勝利となりました。
続いてロイヤルアスコットのクイーンズヴァーズ(芝14F)に出走も、
カーブを曲がりきれず逸走など、まるで競馬にならず12着。

Wisconsinを産んだ後、再度ディープインパクトをつけて、
アイルランドに帰国し生まれたのが5番仔Sptember

 
●血統構成

母はデインヒルとサドラーズウェルズという欧州主要血統を
2つとも持ち合わせている馬。
今の欧州競馬は、このどちらの血も入っていない馬を
探す方が大変という程のデインヒル・サドラー飽和状態。
異系統の相手探しに向かうのは自然の流れ。

そこで目をつけたのが、ディープインパクト。
4代血統の中にクロスを持たないで、
海外でも結果を出しているリーディングサイアーなら、
文句なしということでしょうか。

日本においてのディープインパクト×デインヒルは、
フィエロサトノアレスをはじめ、マイラー寄りの馬が多い。
しかし血統にサドラーズウェルズとブラッシンググルームと
底力・スタミナを持つ種牡馬を内包しているので、
母同様に中長距離をこなせてもおかしくありません。

 
●成績

母や兄姉同様に欧州の大オーナーブリーダーの1つクールモアに所属し、
これまた兄姉同様アイルランドの名トレーナーA.オブライエン師に
預けられたSeptemberは2歳の6月8日にレパーズタウン競馬場でデビュー。
2歳の6月デビューは、英愛仏でデビューしたディープインパクト産駒では最速。
1つ上の全兄Wisconsinが3歳5月デビューしたことを考えると、
誕生後かなり順調に育成が施された証拠。

鞍上はS.ヘファーナン騎手で7ハロン戦のデビュー戦。
良血馬や既走馬もいましたが、上位人気に推されることに。
最内からスタートで煽ってスタートも、すぐに中団に取り付ける。
道中はラチ沿いの5番手でジックリ構えて、
直線に入る所で外に持ち出し1頭違う脚で先行各馬を交わして圧勝。

→ 映像(At The Races)

「騎乗した今年デビューの馬の中では(今の所)1番の馬。
良いエンジンを持っている。」
(S.ヘファーナン騎手)

英・愛のディープインパクト産駒がデビュー戦を勝利したのは、
Firece Impact(フィアスインパクト)に続いて2頭目ですが、
それはオールウェザー戦でのものなので
実質Septemberが初の英・愛デビュー戦勝ち馬と言って良いかもです。
(フランスは4頭います)

印象的な勝ち方をしたSeptemberですが、
レーシングポストが独自に換算しているレート(RPR)では、
“91”をつけました。
このRPRは基本的には英・愛のレースに出走した馬につけられるものですが、
過去に英・愛でデビューしたディープインパクト産駒のデビュー戦レートは、
平均71前後なので、かなり高い数値と言えます。

ちなみに仏1000ギニーを制したBeauty Parlor(ビューティーパーラー)の
サンクルー競馬場で8馬身差圧勝したデビュー戦のRPRは
後日”95″がつけられています。

 
陣営は次走にロイヤルアスコットのアルバニーSチェシャムSを選択。
アルバニーS(GⅢ)は芝6ハロンの牝馬戦。
対してチェシャムS(準重賞)はデビュー戦と同じく7ハロン戦の牡牝混合。
鞍上予定だったR.ムーア騎手の進言によりチェシャムSへの出走が確定。

6月24日、圧倒的1番人気に推されチェシャムSに出走。
前回と違い直線競馬となる今回はスタートがカギでしたが、
他馬に寄られる形で、今回もやや出遅れ気味にスタート。
馬群が密集した後方に位置取ることに。

先頭を走るNyaleti(ナイアレティ)がマイペースで快調に飛ばす中、
Septemberはまだ馬群の中。各馬が追い出しに入ると馬群がばらけ始め、
Septemberの進路が確保される。R.ムーア騎手も追い出しに入ると、
Nyaletiを先に追いかけていたMasar(マーサー)を一瞬で抜くなど、
他馬とは違う脚でグングン伸びて、アッサリ先頭に。
セーフティーリードを保ったままゴールしました。
出遅れ+前残りの競馬を差し切ったのは着差以上に強い内容だと思います。

→ 映像(NBC Sports)

今年のロイヤルアスコットはレコード連発する速い馬場でしたが、
このチェシャムSの1.26.7もレースレコードとなりました。
(RPRは”101″)

「体は小さいけど、特別なオーラを持っている」(A.オブライエン)
「道中、Nyaletiとは離れていたけど心配していなかった」(R.ムーア)
「(欧州牝馬マイル3冠の)ウインターと遜色ない」(R.ムーア)
「母同様に使ってどんどん良くなる馬だと思う」(R.ムーア)

 
●今後

次走についてはアイルランドのデビュータントS(GⅡ)から、
モイグレアスタッドS(GⅠ)を予定しています。
いずれも再びの7ハロン戦ですが、
欧州の2歳戦は短距離~マイル戦がメインですので、
さらなる距離延長は来年からになるはずです。

もしこのローテ通りだと、
ロイヤルアスコットこそ使っていませんが、
6月2週目のレパーズタウン7ハロン戦でデビューして、
中1週で2戦目。3戦目にデビュータントS
4戦目にモイグレアスタッドSとなり、
昨年のカルティエ賞Minding(マインディング)と全く同じローテとなります。

 
カラ競馬場と並んでアイルランドの主要競馬場レパーズタウンはもちろん、
ディープインパクト産駒が散々辛酸をなめたアスコット競馬場でも快勝。
デビュー戦の時計のかかる重馬場でも、2戦目の速い良馬場でも、
抜群の末脚が使えたことを考えると、どの競馬場でも対応できると思います。
(英オークスのエプソム12F戦だけは別物)

あとは距離延長しても大丈夫かという所ですが、
母の血統からそれほど大きな問題ではないと思います。
もちろん今後の成長力が1番大事ですが、
無事なら現段階では来年のクラシック戦線が楽しみな存在と言えます。

いずれにしろディープインパクト産駒らしい走りをする馬が、
英・愛競馬で、やっと誕生したことが嬉しい限りです。

 

 

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