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「神の馬」ラムタラ、死亡

1995年の英国ダービーを、デビュー2戦目で制する快挙を演じ、
“神の馬”と称されたラムタラが死んだことがわかった。
ドバイの競走馬管理グループであるゴドルフィンのホームページで発表されている。
22歳だった。

~sanspo.com~

ゴドルフィンHP → コチラ(海外サイト)

ラムタラは1992年にアメリカで生まれ、所有はゴドルフィン。
大種牡馬ニジンスキーの最終世代の産駒(母父ブラッシンググルーム)。
ノーザンダンサー2×4(31.25%)という極めて濃いインブリードの持ち主。

本人の強い希望もあり、厩舎はアレックス・スコット調教師(英国)に預けられる。
2歳になったラムタラは94年8月ワシントンシンガーS(準重賞・芝1400m)でデビュー。
後に大レースを制するような馬とは思えないほどの辛勝でしたが、
デビュー戦で鞍上のムチに応えて、すでに重賞で実績を上げていたマイセルフ
交わしての勝利にスコット調教師は確かな手ごたえを感じました。

しかし、同年9月にスコット調教師は元厩務員に銃殺される事件が発生(享年34歳)。
ラムタラサイード・ビン・スルール厩舎(UAE)に転厩することになる。

2歳でのレースは、デビュー戦の1戦のみ。
明け3歳になり順調に調整がされていましたが、
3月に肺を患い、命の危険さえも脅かされました。

シェイク・モハメドが組織したゴドルフィンは、
血統・調教・人材だけでなく、医療面でも世界一を目指していたため、
当時の最先端医療を集積したドバイ・エクワイン・ホスピタルを創設。
奇しくも、ラムタラはこの病院の入院患者第1号となりました。

その甲斐ありラムタラは順調に回復。

しかし、復帰から英ダービーまで期間が短いため、
前哨戦を使う事は出来ず、ダービー直行が決まりました。

 
1995年6月10日 英ダービー(芝12ハロン)
長期休み明けな上に、中間も順調でなかったラムタラは6番人気の評価。
レースでは直線に入るまで中団後方。そこから追い出しに入り、
ゴール直前で先行各馬を交わしダービーレコードで勝利。

過去デビュー2戦目でのダービー制覇は史上3頭目。
2歳時からの休み明けでのダービー制覇は20世紀に入って初の快挙。

次走は、愛ダービーに登録していたが、ここでも軽い故障が発生し回避。
キングジョージ6世&クイーンエリザベスダイヤモンドSに登録。
鞍上は、ウォルター・スウィンバーンから
ランフランコ・デットーリに変更。

 
1995年7月22日 キングジョージ6世 & QEDS(芝12ハロン)

1番人気に推されたラムタラは、
直線で、4連勝中で挑んできたペンタイア(翌年のキングジョージ制覇)との、
激しい競り合いの末、ゴール前でクビ差制して勝利。

ダービーとキングジョージを無敗のまま連勝した馬は、
ニジンスキーナシュワンに続いて史上3頭目。
これは、2013年までにおいても出ていない。
ガリレオは愛ダービーを挟んで無敗で勝利)

次走は、凱旋門賞。
本来であれば(現代でも)前哨戦を使わなければ勝てないと言われるレースに
直行すると決定。

 
1995年10月1日 凱旋門賞(芝2400m)

休み明けとはいえ、無敗の2冠馬であるラムタラは1番人気。

これまでよりも行き脚がついたラムタラは、
ペースメーカー(といっても後のGⅠ活躍馬ルソー)の2番手で追走。

何かに差されることを恐れたデットーリ
フォルス・ストレート(偽りの直線)で、ペースを上げ始める。
直線フリーダムクライが並び交わされそうになるが、
そこから再び伸びて、同馬に3/4馬身差つけて勝利。

ミルリーフ以来史上2頭目、無敗馬としては史上初の欧州3冠馬となりました。

 
凱旋門賞のレース後、引退・種牡馬入り。

1年目ははゴドルフィンの所有するスタッドに繋養されるが、
日本の生産者団体が、条件付きで3000万ドル(当時33億円)で購買され、
日本の日高に繋養される事となりました。

当時猛威を振るい始めていた社台のサンデーサイレンスへの
対抗種牡馬として導入されたのは明白でした。

大きな期待をかけられた種牡馬としてのラムタラでしたが、
ダート重賞や地方重賞での勝ち馬はポツポツではあるが出るものの、
芝の重賞を勝利したのは1998年の富士Sを勝利したメイショウラムセス1頭。

2006年、大きな成果をあげることは出来ず、
ラムタラは、24万ドル(当時2750万円)の売却額で欧州へ買い戻されました。

もし、ラムタラが欧州に残っていたらどうだったかはまた別の話。

 
現代競馬ではありえない程のローテーションで結果を出した、
ラムタラの、わずか「4戦の奇跡」はいつまでも語られることでしょう。

 

 

 

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