血統の系統について
前回、血統とは
競走馬をより速く(強く)するために掛け合わされていくために、
用いられるモノと書きました。
さらに、時代や場所によって「活躍する血統」は違うとも書きました。
しかし「時代や場所によって活躍する血統は違う」といっても、
「基礎」となる血統があります。
現代競馬において、その基礎(土台)となる血統(馬)。
1頭の馬の血統をさかのぼると、だいたい行き当たる血統です。
これは、時代も場所も関係ありません。
その基礎となる馬から枝分かれしていき、
現代の競走馬が生まれているので、
その基礎となった血統(馬)を祖先に持つ馬を、
「~系統」(~系と略される)と呼びます。
その競走馬が何系かというのは、父方の系統が使われます。
つまり、前回のディープインパクトなら、
父サンデーサイレンスの系統から、
ディープインパクトはターントゥ系に属されます。
さらに、子系統としてサンデーサイレンス系に属す。
(子系統については、後述します)
このターントゥ-ヘイルトゥリーズン-ヘイロー-サンデーサイレンスといった、
系統の流れを、「サイアーライン」と言います。
「サイアーライン」という言葉は今の段階では覚えなくてもいいですが、
もう少し詳しく血統を調べたい場合は、このサイアーラインを
穴が開くほど見ることになると思うので、頭の片隅にはおいておきましょう。
では、その基礎となる血統にはどのようなものがあるのか。
いくつか挙げていきます。
ノーザンダンサー系
1961年に生まれた米国2冠馬。
とくに欧州での活躍が目立ちますが、
日本でもノーザンダンサー産駒のノーザンテーストが種牡馬として
輸入されて、大きな成功を収めました。
他にも多くの成功種牡馬を輩出。
現代競馬を作った立役者ともいえます。
ナスルーラ系
1940年に生まれた英国馬。
現役時代は期待されながらも目立った成績を
上げることができなかったが、種牡馬になってからは、
多くの活躍馬及び、種牡馬を輩出。
米国史上最強馬と言われるセクレタリアトもこの系統。
ネイティブダンサー系
1950年に生まれた米国馬。
競走生活は22戦21勝と輝かしい戦績をあげました。
種牡馬として大活躍した競走馬を残すことはなかったが、
その引退した子供たちが種牡馬となり活躍するケースが多い。
そうして生まれたのがミスタープロスペクター。
ミスタープロスペクターはネイティブダンサーの孫にあたり、
世界中に散らばって大活躍しています。
ターントゥ系
1951年に生まれた米国馬。
目立った競走生活も上げれなかったうえに、
こちらもネイティブダンサー同様、活躍する産駒は残せなかったが、
その産駒が種牡馬になり活躍馬を出すケースが多い。
そうして生まれたのがサンデーサイレンスであり、
今の日本競馬界を牛耳る血統となっています。
サンデーサイレンスはターントゥの曾孫。
サンデーサイレンスの父ヘイロー系や、
ロベルト系等、今の日本では特にこの系統の活躍馬が多いです。
現代の競馬で大きく分けると上の4つが主流血統です。
前回の項目から、「現代」とか「今の」と使っているのは、
この系統が主流になる以前には、当然違う系統が主流だったわけです。
代表的なものが、マンノウォー系やパーソロン系、ハイペリオン系など。
コレらの系統は今も残ってはいるものの、その勢力はかなり衰えています。
話を変えて、子系統について説明します。
上の4系統の馬は、今の競走馬の血統の大元の馬ということになりますが、
今現在世界で活躍しているのは、この大元の馬の子・孫にあたる種牡馬の、
子供たちであって、その子・孫種牡馬も大元の馬同様、種牡馬として大活躍しています。
大元の種牡馬を「親系統」と言うのに対し、
活躍中の子・孫種牡馬の事を「子系統」と言います。
では、上の4系統の子系統を列挙します(サイアーライン)。
この系統の近年の有名な馬の例(日本にゆかりのある馬)も
書いておきます。
●ノーザンダンサー系
・ニジンスキー系・・・ラムタラ
・ヴァイスリージェント系・・・クロフネ
・リファール系・・・ダンシングブレーヴ
・ノーザンテースト系・・・アンバーシャダイ
・ダンチヒ系・・・シーザスターズ
・ヌレイエフ系・・・コスモバルク
・ストームバード系・・・シーキングザダイヤ
・サドラーズウェルズ系・・・テイエムオペラオー
●ナスルーラ系
・グレイソヴリン系・・・トニービン
・ボールドルーラ系・・・カジノドライヴ
・レッドゴッド系・・・サクラローレル
・プリンスリーギフト系・・・サクラバクシンオー
●ネイチィウヴダンサー系
・レイズアネイティヴ系・・・ミスタープロスペクター
●ターントゥ系
・ヘイルトゥリーズン系・・・サンデーサイレンス
・サーゲイロード系・・・ヤマンンゼファー
こうしてみると、ノーザンダンサーがいかに勢力を
拡げたのかか分かりますね。
次回は、日本馬の血統の流れについて書きます。
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