イメージ画像

血統あれこれ 「インブリードとアウトブリード」

今回は競走馬の「配合」について書きます。

配合理論のひとつに
「インブリード」と「アウトブリード」というモノがあります。

 

●インブリード

インブリードとは、簡単に言えば近親交配の事。
イメージしやすいように下の画像を見てください。

これは2011年に3冠を達成したオルフェーヴルの血統表です。
ステイゴールド、母オリエンタルアートですね。

血統表を右に行けば祖先の馬の名前が出てくることは、
前回勉強しました。

ざぁ~っと、見ていくと、
母方の3世代前にノーザンテーストがいます。
そして、父方の4世代前にもノーザンテーストがいます。

つまり、オルフェーヴルノーザンテーストの血が
入った馬同士の掛け合わせであると言えます。

これがインブリードと言われるものです。

 

なぜ近親交配が行われるのか?

簡単にいうと、ある馬の血をより濃くすることにより、
その馬の遺伝能力を強め、より強い馬を生産するためです。

インブリード効果を狙う種牡馬というのは、
いずれも大種牡馬であることが多く、
その有能な能力を、産駒に強く受け継がせることが、
目的なわけです。

極端な話、大種牡馬を父に持つ馬同士を掛け合わすことが、
その大種牡馬の遺伝能力が1番受け継がれわけです。

実際、インブリードによる活躍馬は多数出ているので、
一定の効果はあるものとされています。

しかし、同時に近親交配は(競走馬に限らず)、
体質が弱くなるというデメリットがある上に、
流行血統のインブリードが強い場合、
引退後の繁殖相手にも困る事になります。

 

では、血統表をもう1度見てください。

この表の右下に、

ノーザンテースト 18.75% 4 × 3
Northen Dance 9.38% 5 × 4
Lady Victoria 9.38% 5 × 4

と書かれていますね。
「クロス」というのは「インブリード」と同義語です。

この表記を説明する前に
まず、血統表の見方を説明しなければいけません。

血統表を見るとき、
右に代を重ねるほど数字を増やしていきます。
つまり1世代前、2世代前、3世代前・・・。

例の方が分かりやすいので、上の表から言うと、

1世代前:ステイゴールド、オリエンタルアート
2世代前:サンデーサイレンス、メジロッマクイーン等
3世代前:Halo、ディクタス、メジロティターン、ノーザンテースト等
4世代前:Hail to Reason、ノーザンテースト、メジロアサマ等

この「4世代前×3世代前」を略したのが「4 × 3」。

さらに、インブリードでは血量も表記されます。

1世代前:血量50%
2世代前:血量25%
3世代前:血量12.5%
4世代前:血量6.25%

このように世代を追うごとに血量は1/2で計算されます。

インブリード部分の血量は、加算されるので、
オルフェーヴルの例で言うと、
6.25(父方4世代前)× 12.5(母方3世代前)
=18.75%(4 × 3)

となるわけです。

インブリードは4世代の中で考えるのか、
5世代以上の中で考えるかは人それぞれです。

よって、上表の例で書かれている、
Northen Dance 9.38% 5 × 4
Lady Victoria 9.38% 5 × 4
をインブリードとして考えるかどうかは自己判断です。

まぁ、Northen Dance 9.38% 5 × 4は、
ノーザンテーストの4 × 3があるので当たり前なんですけどね。

では、極端なインブリード効果の1例としてラムタラを紹介します。

ラムタラは1995年に欧州3冠を達成した馬。
しかもデビュー戦+3冠(英ダービー・キングジョージ・凱旋門)の
わずか4戦での達成。つまりステップレースを一切使わずに
3冠を達成するという大偉業を成し遂げた馬です。
「奇跡の名馬」「神の馬」とも言われた名馬です。

そんなラムタラの血統表がこちら。

下のクロス馬リストを見ていただければ分かるように、

「Northern Dancer 31.25% (2 × 4)」

という血量を持っています。
31.25%は競馬界でもかなり濃い血量と言えます。

引退後、日本に種牡馬として輸入されましたが、
配合する時には、種牡馬としての期待値は
それほど高くなかったはずです。
(実際、日本では結果を残せませんでした。)

ちなみに、条例の日本で種牡馬として大活躍したノーザンテーストですが、
「Lady Angela(牝馬)の3×2(37.50%)」を持っています。
牡馬のインブリード程、重きは持たれていませんが、
牝馬のインブリードも、もちろんあります。

 

しかし、ここまでの血量を持つと、
どうしても体質が弱くなる事が多いので、ほどほどが大事。

その、「ほどほど」というのでベストの血量があります。
それが、「奇跡の血量」と言われるものです。

 

「4×3(18.75%)」

 

これが、インブリード効果のベスト血量と言われています。

そう、上のオルフェーヴルも「奇跡の血量」を持つ馬の1頭。

過去にもタニノギムレット、ヴィクトワールピサ、ブエナビスタ、
エルコンドルパサー※、メイショウサムソンなど、
日本だけでも数々の名馬が登場しています。
※エルコンドルパサーはノーザンダンサーの4×3の他に、
スペシャルとリサデルの全姉妹インブリード4×4×3を持っています。

競馬をする際に、血統表をみたりして、
この「4×3」または「3×4」の馬を探すのも面白いかもしれませんね。

 

●アウトブリード

上で説明してきたインブリードに対して、
4世代前または5世代前(人により定義は違う)までに、
インブリードが入っていない配合の事。

インブリードのデメリットである体質弱化はもちろん少ないし、
繁殖界がインブリードを持つ馬だらけになるのを避けるためにも、
このアウトブリード配合は非常に大事なモノです。

アウトブリードの馬でもたくさん名馬が出ています。
3冠馬のナリタブライアンやディープインパクトも、
アウトブリードで作られている馬です。

 

 

インブリード、アウトブリードどちらが良いのかは断定できませんが、
強い馬が生まれやすいのはインブリードの方が確率は高いです。
ただし、突如として大物が登場するのはアウトブリードの馬の方が
多いように個人的には思います。

 

関連記事

2 Responses to “血統あれこれ 「インブリードとアウトブリード」”

  1. E より:

    エルパサは25%では?

  2. k-wind より:

    記事作成の際に牝馬インブリードは意識していなかったのですが追記しました。
    ありがとうございます。

コメントを残す

サブコンテンツ

メルマガ会員募集中

ランキング


にほんブログ村 競馬ブログへ

競馬ランキング&競馬情報検索エンジン 競馬サーチ.com

にほんブログ村

このページの先頭へ